自分で開業するには?準備の手順とおすすめの開業分野、具体的な起業手段について

なぜ開業したいのかを考える

開業を思い立つ人の中で、「会社員としての時間や制約の縛りから逃れたいから」、「人間関係が面倒だから」といった安易な理由で起業をはじめてしまう方がいます。事実、近年ではインターネットが普及したことにより、昔に比べ情報を集めることが容易になったほか、2018年に発表された働き方改革による副業解禁によって「週末起業」という開業方法が話題に上がるなど、開業に関するハードルは年々低くなりつつあります。しかし、将来の具体的なビジネスプランやゴールもないまま自分で安易に開業してしまうと、失敗に終わる可能性が高くなってしまいます。これを防ぐためには、まず自分で開業をしたいと思い立った理由について掘り下げていく必要があります。ビジネスをスタートさせて達成したい目標やゴール、提供するサービスや商品を通して顧客に与えたい価値は何なのかということについて深く考えることで、今後の方向性をさらに固めることができます。この部分が先ほど述べたような不透明な心持ちのままだと、いく先々で方向性を見失い、事業が失敗に終わってしまいかねません。またこの根本の部分を見つめることで、これまでとは違ったアイデアや、はたまた開業をやめるという選択肢も出てくるかもしれません。自分が心の底では何をやりたいと思っているのか、という部分を追求すればより建設的な開業準備ができるようになり、失敗のリスクを防ぐことができるようになります。

開業する業種・分野を選ぶ

開業の目的がわかったところで、事業展開する業種や分野を選定していきます。既に特定の分野やビジネスモデルが決まっている場合は別ですが、ここではまだどの業界で開業すればいいか迷っている方に対し、開業におすすめの業種や分野について一部ご紹介していきます。

IT関連

IT関連と一口にいっても多種多様かつ幅広い分野の仕事が存在します。まずエンジニアの中だけでもコンピューターのシステム設計を統括して行うシステムエンジニア、システムエンジニアが作った設計に沿って実際に機能を作っていくプログラマー、そしてサーバー構築やインフラを管理するインフラエンジニアなどがあります。加えて、ITの仕事の中でもWeb関連の分野ではWebデザイナーやDTPなどのクリエイティブ職、そしてプロモーションの分野に特化したWebマーケターなど、この他にも色んな仕事があります。

これらIT関連の職種は比較的運営リスクが少なく、高単価で取引されるほか、開業の初期費用も安価に抑えることができます。そして今後も市場の成長と需要がさらに見込める業種でもあります。よって上記に関連する経験や資格がなくても、会社を開業し人材を雇うなどして上手に運営することができれば、短期間で成果を出すことも可能です。

教室関連

ピアノや塾など、得意な分野で教室を開き開業する方法です。既に知識や経験のある分野での開業であるため、業界のことを一から学ぶ必要がないほか、家の空き部屋やマンションの一室などの小規模でスタートさせれば初期費用も比較的安価に抑えることが可能ため、この方法も低リスクで始められるというメリットがあります。そしてどの分野で開業する場合にも共通していることですが、集客に関しては事前のしっかりとしたマーケティング調査が必須です。オンラインでなければ生徒には教室に足を運んでもらう必要があるため、立地に関してはまず注意して検討したいところです。マーケティング調査ではこのようなエリア調査をはじめ、どのようなクラスを開講すれば需要が見込めるかというニーズの調査、そして教室をプロモーションするための広告活動など、大きく分けて3段階での準備が必要になります。

教室運営は提供するプランにもよりますが、一度生徒が入会すると一定期間は決まった金額が収入として入ってくるようになります。新規入会の勧誘やクラス内容の見直しなど、コンスタントに改良を加え続けることがマストとはなりますが、自分の好きなことで細く長く、あるいはやり方によっては大規模な拡大が見込める教室運営は、自分で始めることのできるおすすめの方法です。

事業計画書を作成する

上記ステップを経て大体のアイデアが固まったら、いよいよ開業準備に入っていきます。まずはじめのステップとして重要なのは事業計画書の作成です。事業計画書は設定したゴールに対し、どのようにして事業を運んでいくかという説明を全て書き記したもので、企業の経営理念、また社会における存在意義の証明ともなり得るものです。そして将来事業が伸び悩んだ時、事業計画書が開業前にしっかり作れていれば、それを見返すことによって経営を再び立て直すことも可能になります。

一方で、開業には多くの事務処理などの手続きが発生するため、事業計画書の作成で手を抜いてしまうという方も少なくないと思います。しかし事業計画書を作るメリットには、このように事業の指針となってくれる他にも大きなメリットがあります。それは金融機関や投資家に融資を依頼する際に、事業計画書が「将来性の見込める起業である」ということの説明材料になるということです。

基本的なステップだと思って蔑ろにせず、後の大きなメリットを考慮した上でしっかりと内容の詰まった事業計画書を作成することをおすすめします。

開業の方法

それでは具体的な開業方法についての手段を下記でご説明します。

個人事業主として起業する

自分自身で開業できる方法の中でもおすすめなのが、個人事業主という事業形態で起業する方法です。法人を設立する際に比べ比較的手続きなどのハードルが低く、初期費用を抑えながらもスピーディに開業ができるため、早く自分で開業したいと考えている方にはおすすめの開業手段です。

個人事業主になる手続きとして開業届の提出が必要になりますが、仮に提出をしなくとも特に罰則等はありません。また開業届は無料で申請をすることができるほか、この開業届を出すことによって確定申告の際に「青色申告」が利用できるようになります。これは事前に申請しておくことによって高い節税効果が期待できるというメリットがあり、個人事業主になるほとんどの方はこの青色申告をうまく活用して節税対策をしています。また個人事業主になれば、銀行口座を作る際にも個人名ではなく事業所の名義で開設申請をすることができます。

法人として起業する

もう一つは、株式会社や合同会社などの法人を設立して開業する方法です。個人事業主に比べ、初期費用は定款の作成費用や登記の手続きなどで最低でも約25万円ほどは必要になるほか、後の税金などの事務処理が非常に複雑になります。しかし法人として起業することで、個人事業主で利用する青色申告よりもはるかに高い節税効果が期待できたり、決算月を自由に設定できるほか、社会的信用度が高いことから金融機関から融資などを受けることが容易になるなどの大きなメリットがあります。

会社設立は安定的に高収入が見込める場合に有利な開業方法です。自分で開業をしたい場合、まず初めは金銭面でのリスクが少ない個人事業主として開業し、事業が成長してきた段階で株式会社や法人を設立する方法が一般的です。

まとめ

自分で開業する際の心得、おすすめの開業分野、そして具体的な開業手段についてご紹介しました。自分で開業することを検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

気になるリストをまとめて資料請求