法人登記とは?費用感や申請方法、必要なものを解説!

個人事業主としてではなく、会社を設立して起業する場合は、法務局に対して法人登記をしなくてはなりません。法人登記は法律で義務付けられており、必ず行わなければいけない手続きとなります。法人登記について、そしてその申請方法について解説します。

法人登記とは?

法人登記とは、会社名である商号や本社所在地、代表者の氏名と住所、事業の目的など、法人に関する情報を法務局に登録する事です。株式会社はもちろん、持分会社や一般社団法人、一般財団法人、特例有限会社、NPO法人なども、登記が義務付けられています。法人の情報が法務局のホームページで一般開示される事により信用が保たれ、会社間の取引が安心してできるようになる事が、法人登記の目的の一つとされています。また、登記が完了すると、法務局から登記事項証明書が発行され、それがあるだけで個人事業主よりも銀行から融資を受ける際などの申請に有利になります。法人登記が遅れると過料の支払いが生じるので、なるべく早く済ましましょう。

法人登記に必要なもの、その手順とは?

会社の設立には2つの方法があり、発起人が会社設立時に全ての初期資金を出資する「発起設立」と、株主になる人を募集して設立する「募集設立」があります。募集設立の場合、会社設立前に出資者を集めて創立総会を開かなければならないなど、会社設立までの手順が多くなり時間がかかるため、発起設立が一般的です。

発起設立に必要な準備とは?

会社の概要を決める

まず、優先的に決めるのは商号、本店所在地、発起人、取締役、取締役会と監査役の有無、事業目的、資本金などの会社の概要です。商号を決める際には、のちのトラブルを避けるためにも、類似商号調査も同時に行いましょう。

法人用のハンコの作成

会社設立後に必要なのは法人実印です。法人実印と一緒に銀行印、社印、ゴム印も作成しましょう。

定款を作成する

会社の規則となる定款を作成します。定款を作成する際には、商号、本店所在地、目的などの「絶対的記載事項」を盛り込む事が必須となっています。定款ができたら、公証役場で認証を受ける必要があり、その手続きには認証費用として5万円、謄本交付手数料として1枚あたり250円がかかります。

出資金の払い込みをする

定款の認証後、出資金の払い込みをします。登記前に法人口座の開設はできないため、一般的に発起人の口座を払込先として利用します。振り込みが完了したら、銀行通帳の表紙、裏表紙、そして出資金の入金が記帳されたページのコピーを取り「払込証明書」を作成します。ここでは法人実印を使用することに注意しましょう。

登記の手順

会社登記する際に必要な書類は上記した定款に加え「設立登記申請書」「登録免許税納付用台紙」「発起人決定書」「代表取締役の就任承諾書」「取締役の就任承諾書」「印鑑証明書」「印鑑届書」「払込証明書」になります。登記申請は本店所在地の管轄法務局にて行われます。法務局に直接書類を持っていくか、郵送またはオンラインでの申請が可能です。

管轄法務局の窓口に直接提出する場合は、法務局が申請を受け付けた日が会社設立日となります。郵送での申請をする場合は、簡易書留や特定記録をおすすめします。無事に書類が届いたことがわかるので安心です。こちらも書類が法務局に届いた日付が会社設立日となるので、配達日指定の郵便を使う事により希望の設立日に書類を届けることも可能です。

オンライン申請の場合は、登記・供託オンライン申請システムの「登記ねっと 供託ねっと」を利用します。専用ソフトをダウンロードした後は、全てがオンラインで行われるのでとても便利な方法です。

どの方法も書類に不備がなければ申請から10日ほどで登記が完了になります。

法人登記において用意するもの

設立登記申請書:法務局のウェブサイトからテンプレートをダウンロードし作成します。指定された様式に沿って作成する必要があり、記載事項に不備がある場合は補正しなくてはいけないので注意しましょう。

定款:上記した定款の謄本を一部用意します。

登録免許税納付用台紙:登録免許税は収入印紙または現金で納付が可能です。収入印紙をそのままA4の用紙に貼付するか、現金で納付した場合はその領収証を貼付します。

発起人の決定書:会社の本店の所在地や、商号など会社の発起人が決定したことを記入する書類です。

代表取締役の就任承諾書:代表取締役に就任することを承諾したと証明する書類です。代表取締役が発起人として実印を押印している場合、この書類の制作は必要ありません。

取締役の就任承諾書:取締役に就任することを承諾したと証明する書類です。

印鑑証明書:取締役の印鑑証明書となります。定款の認証を受けた時に取得した印鑑証明書と同じものです。取締役会を設置している場合は代表取締役のみになりますが、そうでない場合は取締役全員分が必要になります。

印鑑届出:法人の実印を届け出るため書類です。

払込証明書:上記した出資金の払い込みの完了を証明する書類です。

法人登記にかかる費用は?

登記に必要な書類などを揃える際に必要な費用はどれくらいでしょうか。まず必要になるものは、法人実印の作成費用です。お手軽な値段のものから、10万円以上の高価なものまであり、予算に見あったものを依頼しましょう。定款の認証費用としては、上記したように認証費用に5万円、謄本交付手数料として1枚あたり250円となります。出資金の払い込み額は、最低金額が1円からとなっています。1円で済ませる事も可能ですし、余裕がある場合は任意の額を払い込みましょう。そして、登記の際には、登録免許税を税務署に納付しなくてはなりません。出資金額は「出資額の0.7%」で割り出します。15万円に満たない場合は、登記申請1件につき15万円になります。全てを合わせると、法人登記にかかる費用として、最低でも25万円は必要と言えるでしょう。

法人登記の内容を変更したい場合は?

法人登記の内容が変更になる際は、その都度登記申請をしなければなりません。登録免許税は最初の申請時よりも安くなりますが、変更内容によってその金額が変わります。法務局の公式ホームページに例と共に具体的な金額が記載されていますが、管轄法務局にて無料で相談に乗ってもらう事も可能です。事前に予約をすれば、申請時に必要な添付書類や申請内容など、多岐にわたる登録内容について相談できるので安心です。また忘れてはいけないのが、変更登記には期限があることです。変更から2週間以内に申請をしなければなりません。その期間を過ぎてしまった場合は、罰金が課せられる可能性があるので注意しましょう。また株式会社の場合、会社登記から12年間変更登記がない場合は、会社は解散したとみなされてします。現在の会社法では、役員、監査役の任期は10年とされているため、12年の間に何かしらの変更登記がされなければならないからです。

法人登記が完了した後に行うこと

法人登記が完了したら、「登記事項証明書」と「印鑑証明書」を取得しましょう。法人口座の開設や担保設定の際に必要な書類で、複数取得しておくと便利です。法務局の窓口、郵送、またはオンラインで取得可能です。

まとめ

法人登記には必要な書類が多く、期限も定められていますが、一つずつ規定に沿って作成すれば難しいものではありません。会社の信用にも関わることなので、法人登記や内容変更など、時間に余裕を持って慎重に行ましょう。

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