開業届の提出にマイナンバーは必要?

マイナンバーカード とは

まず、マイナンバーカードとは何なのかを改めてご説明いたします。マイナンバーカードとは自治体から無料で交付される身分証明書で、プラスチック製のカードです。カード上には個人を識別するために国民一人ずつに割り当てられている個人番号の他に、名前、性別、生年月日など、本人確認の際に必要になる個人情報が記載されています。この12桁の個人番号は個人を識別する重要な情報で、一生涯変わることはないため一度流出してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。よってマイナンバーの情報の保護には最善の注意を払わなければなりませんが、もし無くしてしまったという場合には再交付申請をすることが可能です。しかし申請してから手元に届くまで一定期間の時間を要すため、マイナンバーを紛失中に手続き等で個人番号を把握しなければならなくなった場合は、住民票上でも確認することができます。またマイナンバーの通知書にも個人番号は記載されているため、プラスチック製のマイナンバーカードを作らなくても特に大きな問題はありません。しかし一度開業をすると行政手続きなどをする場面が驚くほど増え、またその都度個人番号の記載や身分証明書の提示が求められるため、それらの処理のためだけに膨大な時間を費やすはめになってしまいます。しかしマイナンバーカードを持っておけば、それ一枚で本人確認書類として成立するため、書類ごとに運転免許書や身分証明書のコピーをわざわざ取る必要がなくなります。開業をする際に、時間や手間を短縮するという意味合いでマイナンバーカードをあらかじめ作っておくのは得策かもしれません。

開業届の提出時に必要なもの

開業届とは、事業を始める際に税務省に提出が義務付けられている届出のことです。開業届の用紙は国税庁のホームページからダウンロードできる他、記入後郵送するか、または税務署で用紙をもらって記入し直接提出することも可能です。また開業届は開業をしてから1ヶ月以内に提出するものとされていますが、仮に提出をしていなくとも特に罰則等はありません。しかし開業届を提出しておくことで後に青色申告や、会社名義で銀行口座をつくる際などの手続きをスムーズに行うことができるため、あらかじめ提出しておくことをおすすめします。

では、この開業届を提出する際に必要になる持ち物や、実際に用紙に記入していく情報についてご紹介していきます。

持ち物

まず税務署へ開業届を出しに行く際、必要となる持ち物は下記の通りです。

  • 印鑑
  • マイナンバーカード、またはマイナンバーが分かるもの
  • 身分証明書(マイナンバーカードを持っていない場合)

「マイナンバーが分かるもの」とは、マイナンバー通知書、または住民票など個人番号の記載があるものを指します。これらを使って開業届を提出する場合、これらのどれか一つとあわせて運転免許証などの身分証明書の写しを提出する必要があります。一方でマイナンバーカードを持っている場合は、カードそのものが身分証明書としての役割を担ってくれるため他に身分証明書などを持っていく必要はありません。

また税務署で書類に情報を書き込むのではなく、あらかじめ書類を準備しておきたいという場合は、国税庁のウェブサイトからフォーマットをダウンロードすることができます。

必要記入事項

開業届の書類作成時において、必要となる記入事項を一つずつ解説します。

税務署名

開業後の納税先の税務署名を記入します。納税地は原則として住民票が置かれている居住地の住所ですが、住民票には記載のない居住地、または事業所を納税地とできる特例もあります。例えば引っ越しをする度に住所書き換えが面倒という場合などに、特例が適用されればバーチャルオフィスの住所を納税地として記入することができます。

提出日

開業届の提出日を記入します。

納税地

住所地、居所地、事業所などのいずれかの住所、または電話番号を記入します。

氏名・生年月日

名前の横に、個人印または屋号印で押印します。

マイナンバー情報

自分のマイナンバーカードに記載されている個人番号を記載します。個人番号は、マイナンバー通知書には表面上部、マイナンバーカードにはカード裏面上部に記載されています。

職業

自分の職業を記入します。

屋号

自分の職業を記入します。

届出の区分

開業にチェクを入れます。事業を引き継いだ上で事業を展開する場合は住所、氏名も記入します。

所得の種類

個人事業主の場合は「事業所得」を選択します。

開業・廃業等日

事業開始日を記入します。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告承認申請書などを開業届とともに提出する際には「有」、しないという場合は「無」を選択します。

給与等の支払いの状況

生計を共にする親族などに事業を手伝ってもらう可能性がある場合に記入します。

開業届の他にマイナンバー情報が必要なもの

開業をするにあたり、マイナンバー情報が必要なものとして他に青色申告というものがあります。青色申告は確定申告書類の一つであり、他に白色申告をするという選択肢もありますが、大体の事業主が青色申告で確定申告を行います。なぜなら青色申告で確定申告時をすると、最大65万円の控除が受けられるというメリットがあるからです。青色申告には、事前準備として複式簿記をしなければならなかったりと、手間と一定量の簿記の知識量が求められますが、これらは全て便利な会計ソフトを使うことで解決できます。またその他のプランとして10万円の控除申告をすることもできますが、多少手間とお金をかけてでも最大金額の65万円分の控除を受けたいという事業主が大半です。

そしてこの青色申告には、複式簿記の提出の他にマイナンバーの提出も義務付けられています。個人事業主として開業する方の大多数が青色申告をしており、その場合事前申請として青色申告承認申請書というものを開業2ヶ月以内に提出することが義務付けられています。よって青色申告をするほとんどの事業主が、開業届を出す同じタイミングでこの申請書も提出しています。仮にこの青色申告承認申請書を出し忘れてしまった場合、青色申告はできなくなってしまいますので注意しましょう。

その他には金融機関との取引、契約先企業からの報酬の受け取り、また不動産使用量を支払う際などにもマイナンバー情報の提出が必要になります。事業や法人を持っていると、この他にも様々な場面でマイナンバー情報の提出が求められ、何かにつけて身分証明などをする機会が多くなります。開業をすると、自分の事業以外にもこのような細かい行政手続きや税金処理などに費やす時間がどうしても発生してしまいます。冒頭にも述べましたが、時間と手間を短縮する方法としてマイナンバーカードを作るのはやはり得策であり、少しでも業務を効率化したと考えているのであればまず済ませておきたいものです。

まとめ

開業におけるマイナンバー提出義務の機会についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。基本的なマイナンバーの知識、またマイナンバー情報が関わってくる開業手続きにはどんなものがあるかなどが分かっていただけたかと思います。開業の手続きには慣れない事務作業や馴染みのない書類作成など、労力と手間をかけなければならない機会が多々あります。このような事務手続きは開業をする上で避けて通ることはできませんが、少しでもスムーズに事業を進めていくためにも、ぜひこの記事を参考にして開業準備に励んでください。

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