フランチャイズ起業を、より確実な成功へ近づけるための手段の一つとして、プレオープンを行うという方法があります。しかし、そもそもプレオープンとは何なのか、それによってどのような効果が期待できるのか、具体的には分からないという人も多いのではないでしょうか。今回は、プレオープンの概要とそれによって得られる効果や気をつけるべきポイントについて、詳しく解説していきます。

プレオープンの意味は？

プレオープンとは、「プレ＝その前に」という意味が示す通り、正式なオープン日の前に試験的に開業することを言います。

通常プレオープンでは、従業員やその友人などを招き、その人たちに対して、正式オープン後に予定している一連の業務を体験してもらいます。そこで、サービスの良し悪しを判断してもらったり、運営側の課題などを抽出したりすることによって、正式オープン後の営業をよりスムーズに行えるようにするのです。

プレオープンでやるべきことは？

プレオープンは、後に続く正式オープンを見越して行うのが効果的であるため、実施すべき事柄もある程度決まっています。代表的なものを以下に紹介していきます。

１：実際にお客さまを入れて、業務を行う

プレオープンの最終的な目的は、正式オープン後の営業をスムーズに行えるようにすることです。そのためには、オープン後に想定される状況と同じ環境を作ることが大切。そのためには、実際にお客さまを入れて、業務を行うようにしましょう。

例えば飲食店の場合、一度に注文が重なってしまうことで調理スタッフが想定通りに動くことができなくなってしまったり、お客さまがいることで店内の導線が崩れ、接客スタッフが迅速に動けなくなってしまったりなど、想定外のトラブルや課題に見舞われるケースは少なくありません。

プレオープンでは、実際にお客さまを入れることによって、想像だけでは気づかなかった様々な課題を見つけ出すことができるようになるのです。

２：設備や備品の確認を行う

プレオープンで見るべきポイントは、人に関するものだけではありません。設備や備品といったモノに対する状況も、しっかり把握しておくようにしましょう。

想定ではばらけると思っていたメニューへの注文が、状況によっては一つに集中することもあります。そうした際に、そのメニュー用に用意していた食器が足りなくなってしまったり、それを作るための材料や設備が連続使用で不調になってしまったりすることもあるかもしれません。

設備や備品がしっかりとその機能を果たし切れるのかをチェックするのも、プレオープンの重要な役割の一つです。

３：お店の宣伝として活用する

プレオープンの際には、可能であればテレビや雑誌の記者などを招待して、宣伝してもらうようにすると良いでしょう。そうしてメディアなどで取り上げてもらえれば、注目度が高まり、正式オープン後に人気を爆発させることができるかもしれません。

またメディア関係者だけでなく、近隣の住民など、お店を利用してもらえる機会が多い人を招待するのも効果的です。ここで良い印象を持ってもらえれば、お店にとって大切なリピーターを獲得することができるかもしれませんし、友人たちなどにも口コミで広めてもらえるかもしれません。

プレオープンだからと言って内輪だけで終わらせず、宣伝の機会として活用していけば、オープン後の営業をよりスムーズにしていくことができるのです。

実施までのフロー

ここからは、実際にプレオープンを行うためのフローについて解説していきましょう。

１：プレオープン日の決定

まずはいつプレオープンを行うのか、その日程を決定するようにしましょう。一般的にプレオープンは、正式なオープン日の前日や二日前に行うことが多くなっています。ただ、その結果を受けての改善に余裕を持たせたいのであれば、それより以前にプレオープンを行ってしまっても問題ありません。

２：招待するお客さまの人選

プレオープン日を決めたら、それに応じて招待する人を選んでいきましょう。メディア関係者や近隣の方、取引先の人を招待するのも良いですね。ここで大切なのは、お店にとって余裕のある人数に留めておくということ。そうしないと、招待されて来たのに満席で座れない、注文してからなかなか料理が運ばれてこない、といった事態になり、お店の評価を下げてしまうかもしれません。

３：招待状などの送付

実施日と招待する人を決めたら、招待状や案内用のチラシを作り、送付しましょう。関係性の近い人であればメールや電話でも構いませんが、外部の人に対してはしっかりとした招待状を作ることで、より良い印象を持ってもらいやすくなります。

ここは押さえるべき！成功への必勝ポイント

最後に、プレオープンを成功させるための必勝ポイントについて紹介していきます。

事前練習を欠かさない

プレオープンだからといって、適当な対応で良いというものではありません。そこでの印象が正式オープン後にも大きな影響を及ぼすからこそ、すべての業務を完璧に回せるよう、しっかりと事前練習をしておきましょう。

設備などに対する準備は正式オープンと同じで

調理器具や設備などの準備については、あらかじめ業者と連携をしておき、正式オープンと同じ体制でのぞめるようにしておきます。プレオープンとはいえ、機械部分にトラブルが発生しないとは限らず、そこの準備を怠ってしまっては、プレオープンを完遂できなくなってしまうこともあるでしょう。プレオープンはあくまでもお客さまの認識の上だけとして、実施する側は本番を想定して準備しておかなければなりません。

アンケートを実施して改善点を見つける

プレオープンを自己満足で終わらせてはいけません。課題や問題点を見つけ、それを改善させるために、アンケートを実施して忌憚のない意見を聞くようにしましょう。ここで問題点が見つかればむしろチャンスにつながるため、できる限り多くの意見が集まるように質問を作るのがポイントです。

プレオープンの結果を踏まえて、改善点を話し合う

アンケートの結果や当日の従業員たちの様子、意見を交えながら、改善点を話し合うようにしましょう。ここでいかに改善点を洗い出し、それをしっかりと修正していけるかが、正式オープン後の成功を左右します。ダメな部分があったとしたら、なぜダメになってしまったのか、それを防ぐためにはどうすれば良いか、といった内容を、できるだけ具体的に掘り下げて考えていくことで、より良いお店作りができるはずです。

正式オープン前の最終確認

改善点を見つけ出すことができたら、正式オープンに向けて改めて練習や確認を行いましょう。オープン日を守るのも大切ですが、課題があるまま無理やりオープンをしても良い結果は生まれませんので、しっかりと最終確認を済ませてから正式オープンにのぞみます。

おわりに

プレオープンの意味や効果、大切なポイントについて解説してきました。飲食店などでは、一回の失敗がその後の営業に大きな影響を及ぼすことも少なくないため、プレオープンを実施してしっかりと課題を見つけ出し、改善しておくことが大切です。プレオープンだからと言って気を抜くことなく、正式オープンと同様にスタッフ全員が本気でのぞめば、それだけ得られる学びも多くなります。そしてその学びを今後の運営に活かしていけば、オペレーションはよりスムーズになり、お客さまからの評価も高まっていくはずです。