会社を経営するにあたり、特に必須となる資格などはありません。しかし、これから経営を始める上で『必要な知識を蓄える』といった意味合いで資格の取得を目指すのであれば、是非起業する前に越えておきたいステップではあります。経営にはマネジメントや財政、法律など、ビジネスそのものに直結するものとそうでないもの等、実に幅広い知識が求められます。またそれらの情報を常にブラッシュアップしていくことも重要です。
資格の取得の1つのメリットとして、資格を持っていることがご自身が一定水準以上の技術、また知識を持ち合わせている事を証明できるといった点が挙げられます。しかし会社を経営していくにあたり、そのような技術や知識を他人に証明したところで会社が成功するのかと言うとそうではありません。資格獲得において得た知識は活用することによって意味を成し、また会社の組織の中で機能していくことが最大の目的であります。また、それらの知識はご自身が実務として使用し続けるわけではなく、会社が大きくなればゆくゆくは外部の業者や人材を雇い、人に依頼していくことになります。よって、将来的には自社の戦略を立てる時にそれらの知識を役立る、といったイメージを持っておくと良いでしょう。
では上記で述べたような経営をするにあたって有利となる資格には、一体どんなものがあるのでしょうか?今回は、そんな経営者を目指す方に向けておすすめの3つの資格をご紹介します。
簿記は企業の財政状態や経営成績を知るためのものであり、ビジネスにおける幅広い用途を目的として活用される、経営の基礎となるような資格です。
簿記は貸借対照表と損益計算書の2つを作成することで、どのくらい自社に貯蓄があるのか、またどの程度の金額を出資しているかを数字で明瞭化します。
つまり自社のお金の流れを数字化するということであり、ひいては会社全体の動きを掴むことができるということです。
この数字を把握できるようになると、財政面だけにとどまらず、経営面においても分析をすることが可能になります。よって経営全体がうまくいっているかどうかを理解した上で、より現実的な視点から長期の経営プランを組んだりすることも可能になるのです。
このように、簿記を勉強することで経営を根本的な部分から学ぶことができます。
尚、一般的な経営において必要な知識を得たいのであれば、簿記3級の取得がおすすめです。
この資格取得に要する勉強時間は、個人差はありますが一般的には約30時間とされています。
また試験では、筆記にて決算書の作成を行い、この書面を通し企業の金銭面での足跡を全て明確に伝えられるかが問われます。
また受験に際し受験資格や実務経験は必要ない他、簿記3級の合格率は約40%と言われています。
一方で一番の難関である簿記一級を取得する場合はかなりの時間と勉強量を要しますが、こちらでは経営のトップに立つ方には必要のないであろう知識内容が問われます。経営だけがしたいのであれば、簿記入門ステップとしての3級の取得のみで十分な知識量をまかなうことができるでしょう。
経営コンサルタントのプロとして、国家資格として認められている資格です。
企業の経営状態を分析し、企業の財政状況や労務、生産、販売など多角的な角度から調査した上で、経営においての改善方法をアドバイスすることを目的とします。
この資格の取得に際し、特に経験や資格などは必要ありません。
そして取得までの道筋としては、学校へ通ったり通信講座で学ぶことができる他、教材やテキストを購入し勉強するという方法もあります。
しかし、この資格取得のハードルは天気予報士や弁理士の資格取得と同等と言われるほど難易度が高いと言われており、幅広くまた膨大な知識量が問われます。
一次試験に合格するまでの必要勉強時間は、約800時間から1000時間と言われております。期間で換算すると、1日8時間を勉強時間に充てることができたとしても、最短で100日はかかる計算になります。
よって仕事と並行してご自身でテキストなどを購入し勉強を始められる場合は、いかに勉強時間を捻出し確保することができるかが鍵となります。
試験には一次試験と二次試験があり、一時試験ではマーク式のテストが課されます。『企業経営理論』と題し組織論、マーケティング論、経営戦略論の知識について問われる他、『財務・会計』に関連し経営においての資金調達や投資などについても出題されます。幅広く知識を得ているかどうかの確認がこの第一次試験で行われます。二次試験では筆記と口述でのテストがあり、内容としては「組織・人事」、「マーケティング」、「生産・技術」、「財務会計」などの情報をどこまで理解し、人に伝えていけるかどうかの見極めが行われます。どんなに知識があって正確な経営分析ができたとしても、専門用語などの難しい言葉ばかりを使って相手に内容を伝えることができなかったり、論理立てて説明すること等が出来なければコンサルティングの仕事は成り立ちません。
そういった意味合いから、第二次試験ではきちんと知識を活用し、実際に効果的な問題解決のアドバイスができるかどうかのチェックが行われます。
この資格を取得することによるメリットは、経営において幅広い知識を得ることができる他、会社の経済資源を横断的に考察し分析する力が付くことから、利益が生まれるシステムを把握できるようになり、また経営におけるコスト削減などのプランを組むこともできるようになります。
これは資格ではありませんが、起業や会社経営をしている方が取得すると有利とされている「学位」です。
MBAはMaster of Business Administrationの略で、日本では経営学修士と呼ばれています。
学位というと純粋に学問を研究するといったイメージがあり、実際の経営において必要な、実務的な内容はあまり含まれていない印象を持ちがちですが、この学位は「ビジネスに直接活用できる学び」を提供するものとして全世界で周知されています。
MBAを取得するメリットは、何としても経営に必須である知識やスキルを体系的に学ぶことができる点です。
ファイナンスから事業戦略、マーケティング、人事戦略、AIやIoT、ロジカルシンキングやネゴシエーションスキルの向上、コミュニケーション能力まで、経営において切っても切り離せない要項を広く深く学ぶことができます。
その他のメリットとして、大学に通うことで将来のビジネスパートナーとなるような人材と出会えるなど、人脈を広げることにおいて最適な場所であるという点が挙げられます。
MBAを取得しようとしている人たちは仕事の合間を縫い、経営を目的とし努力を惜しまず高いモチベーションを持ち続けている人ばかりです。実のところ、勉学よりもこの人脈にこそメリットがあり、MBAでの人脈を広めることに重きを置いて学位取得の道に乗り出すビジネスマンも多くいます。
さらにそれが海外の大学であれば、その質の高いネットワークを世界中に広げることもできます。
また必然的に英語力を付けることが必須となり、グローバル化が進む中で着実に経営を世界中に拡大することができます。
取得までの期間や費用ですが、行く大学、どの国で取得するのか、また仕事を継続しながら取得するのかなどの条件によって大きく変動します。
しかし、どの方法を選んでも取得までは最短で1年間の期間は要すること、また学費に関しては国内のオンライン受講での最安値が200万円程のところ、海外での現地通学となると約1000万もかかったりと、費用についても事前にしっかりと調べておく必要があります。
経営をするにあたり、取得が必須な資格はありません。
しかし経営者として取得することによって有利になり、持っておいて損はない資格などはたくさんあります。
会社経営をするにあたり、知識とスキルと増やすために資格の取得を目指してみるのも良いかもしれません。
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