男女関係なく、独立・起業を目指す人が近年さらに増えてきました。独立と起業の違いは何でしょうか?また自分に向いているのはどちらでしょうか?そもそも、会社を辞めて独立する事は、今の自分にとって正しい選択でしょうか?大きな決断をする前にじっくりと考えてみましょう。
「独立」とは、自分が属している会社を辞めて、同じ職種で事業を始めることです。例えば、ホテルでシェフとして働いていた人が、自分のレストランを始める事を独立と言います。事業を始める点では起業と変わりないですが、元々の仕事と全く業種が違うのであれば、それを独立とは呼びません。
何か新しい商品やサービスを提供することにより、収入を得る事業を始めることを「起業」と呼びます。独立の場合は、その分野である程度のノウハウや人脈をすでに持っている事が多いので、新規事業を始める起業よりリスクが低いと言えるでしょう。
多くの人が想像するように、独立・起業のメリットは、自由さと自分の意思をすぐに反映できることです。会社員として働いている時は、会社が決めた規則に従いながら、会社の歯車となって働かなければいけません。なかなか自分のアイディアや意見が通らず、もどかしい気持ちになる事もあるでしょう。自らの決断で物事を進められるのは独立・起業の魅力です。どのような商品・サービスをどう売るのか、会社の方針は何か、どの会社と取引をするのかなど、会社の舵取りをするのは自分です。分野によっては働く時間帯や労働時間を自由に決められますし、定年する年も自分次第です。将来的には誰かに引き継いでもらい、次の世代に続くビジネスへ発展、なんて事もありえます。自分のアイディアをすぐに反映することができ、頑張りの成果が報酬に現れるため、やりがいを感じることができるでしょう。
独立・起業で始めたビジネスが軌道に乗れば、上記のようなメリットが得られ、仕事への満足度が上がりますが、そこに至るまではデメリットやリスクもあります。当たり前ですが、毎月会社からもらえる給料や、社宅や福利厚生などの手当がなくなるため、報酬は自らの力で生み出さなくてはなりません。準備期間の収入はなく、いざビジネスを初めても軌道に乗るまでは時間がかかるかもしれませんし、すぐに安定した収入が得られる保証はありません。また、国民年金と国民保険に新たに加入しなくてはいけません。退職金もないので、定年後の生活計画も見直す必要があるでしょう。また、自分で決断をするというのは魅力的ですが、上手くいかなかった時も、責任を取るのは自分です。アルバイトや社員、取引先の会社にまで、自分の誤った決断が大きく影響してしまう事もあります。リスク対策を怠らず、常に慎重な判断をする事を肝に命じておきましょう。
今まで培ってきた経験や知識、そして新しい事業のアイディアに自信がある方は、ゼロから事業を立ち上げるのも良いでしょう。何から何まで自由に決めることができるので、理想の会社作りが可能です。自由さが最大のメリットですが、文字通りゼロから始めるので、時間と労力がかかり、リスクも高いのがデメリットでしょう。どのような商品・サービスを売るのか、どうマーケティングをするのか、初期投資はどれほど必要か、店舗をどこにかまえるかなど、ビジネスを可能にするにはどのようなステップを踏むべきかを細かく計画します。矛盾がなく、リスクが低いプランを立てるには、豊富な知識が必要になります。費用はかかりますが、自分ひとりで立てる事業計画に不安があるのであれば、コンサルティング会社のサポートを受けるのも一つの手です。
リスクを抑えたいのであれば、今現在の仕事と同じ業種での起業も良い方法です。その分野での知識や経験が既に身についており、ある程度の人脈があるのであれば、ビジネスを始める上でとても有利だからです。とは言っても、会社のサポートなく自ら経営者として会社を運営するため、想像していたより難しいと感じる事もあるでしょう。入念な準備を怠らず、新しい事を勉強しながら慎重に進めていきましょう。
近年注目されているのが、フランチャイズ店のオーナーとして起業する方法です。フランチャイズに加盟することにより、本部から経営のノウハウや運営方法を伝授してもらえるので、ゼロからの起業よりも比較的成功しやすいと言われています。自分の経験や知識に自信がなくても、本部からの研修を受けることができるため未経験でも安心ですし、将来役立つ情報が得られるのも大きなメリットです。またフランチャイズは大手が多いので知名度がすでに高く、お店をオープンすればある程度の集客が見込めるのも魅力です。リスクを抑えたい方にはおすすめのフランチャイズですが、店舗の外装や内装、接客方法など、本部からのマニュアル通りの運営をしなくてはいけないこと、また加盟料や研修料がかかることがデメリットでしょう。企業によって加盟料などの費用が異なるので、様々な企業を比べることが重要です。
もし貯金がある場合は、自己資金を使い独立・開業を行うのも一つの手です。ただし、事業を始めてからすぐ黒字になる、という理想の環境はなかなか難しいので、しばらくの生活は確保しておきましょう。どのビジネスでも軌道に乗るまではしばらく時間がかかるものです。半年以上の生活費が確保できていれば、精神的にも安心して事業に打ち込めるでしょう。
開業資金として、制度融資と新創業融資制度が審査に通りやすいと言われています。制度融資は、信用保証協会から信用保証を受けることで、借り入れがしやすくなります。上限3,000万円、金利は21%~27%ほどで、全国各地にある信用保証協会から申し込みが可能です。日本政策金融公庫が行っている新創業融資制度は、無担保で第三者の保証者も不要、審査も比較的簡単になっています。上限1,000万円、金利は125%~300%ほどで、日本政策金融公庫に申請します。3週間以内に結果が出るため、早く融資が受けとることができることも魅力です。行政の無料相談所に問い合わせたり、税理士に相談したりして、自分にあった融資の受け方を見つけましょう。
補助金や助成金は返済の必要がない場合がほとんどなので、独立・起業する場合はぜひ活用することをお勧めします。経済産業省が取り扱う創業補助金、小規模事業活性化補助金、各自治体が取り扱う信用保証料補助、お店への家賃補助など、数多くの助成金・補助金制度があります。自治体の支援サービスへの問い合わせや、経営コンサルタントに相談し、該当する助成金・補助金制度を探すことが開業・独立への第一歩です。
独立と起業、どちらが今の自分に適しているかなど、じっくり考える良いヒントになったでしょうか。もし、画期的なアイディアがあれば新しく事業を始めることができます。また、リスクを抑えたいのであれば、フランチャイズ店のオーナーとして起業する事も一つの手です。大事なステップである資金調達は、コンサルタントに相談する事や、補助金・助成金を利用し、スムーズに独立・起業できる環境を整えましょう。
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