法人登記をするメリットなど、個人事業主と徹底比較をしながらご紹介

法人登記とは

法人登記とは、自分の会社を法人として公的に認めてもらうための制度です。法人登記をすることによって法律上で「法人格」として会社の存在が認められ、権利能力を得ると同時に一人間と同じように商品を調達したり、時に裁判を起こしたりすることなどが可能になります。

またこの法人格というものは、会社や法人が手続きや取引などを行う際に主体となれるよう法律上で与えられる人格、資格のようなもので、これがあることにより団体名義で不動産の売買や銀行口座の開設などができるようになります。

そして会社を設立したのにも関わらず法人登記をしないでいると、過料の支払い義務が生じるほか、社会的信用度も落ちてしまうことから、なるべく早めに登記をしておくことをお勧めします。また代表取締役が変わったなど登記内容に変更が生じた場合に、2週間以内に変更手続きをしなかった場合においても過料の支払いが命じられます。あとで詳しく解説いたしますが、一度法人登記を行うと社会的信用度が上がるというメリットがある一方で、法人を設立するとこのような些細なミスで信用度を一気に下落させてしまうことがあるということを念頭においていた方がいいでしょう。

個人事業主と比較したメリット・デメリット

メリット

節税できる

まず一つ目のメリットは、法人化することによって大きな節税効果が期待できることです。

収入額に対して節税ができる

個人事業主の場合、収入に対して支払う税金は所得税、法人の場合は法人税というものになります。この所得税は収入が上がれば上がるほど税額が累計され、最大45%にまでのぼっていくことに対し、法人税での課税率は最大でも20数パーセントあたりで踏みとどまります。この中にも細かな収入金額の規定などがあり、状況によって税率が異なる場合もありますが、ざっくり説明すると収入が多額でおよそ900万円を超える場合は、法人設立をした方が収入額に対しての節税になります。

欠損金を繰り越すことができる

法人であれば所得の損失を他の年の所得と相殺することができます。簡単に言い換えると、例え当年の所得が赤字であっても、他の年でその赤字額以上の黒字があった場合にその年の黒自分と相殺ができるということです。そしてこの繰越期限は10年と長いため、メリットが大きいと言えます。仮にこれが法人ではなく個人事業主であった場合、繰越可能期間は最大3年間と短く、より短期間で利益を作り出すことにプレッシャーを感じます。その点法人であれば、仮に大幅な赤字が続いたとしても、長い猶予期間の間に事業を立て直していくことが可能になるため、より長い目で事業に打ち込むことができます。

信用度が上がる

法人登記をすることによって生まれる効果の中に、社会的信用度をアップすることができるということがあります。法人として会社を設立する場合、多額の資本金や登記料、また法務局に提出する書類の準備をするなど、実に多大な労力と資金がかかります。冒頭にも述べましたが、法人登記の目的は主に法的に存在を認められることを目的としており、これらの行動は全て法的、つまり社会的に世間から認めてもらうというゴールに繋がっています。事実、個人事業主の場合は金融機関から融資を受けることが難しかったり、会社によっては取引先を法人のみに限定していたりと、法人であるというだけで他者から信用が得られるケースも少なくありません。また人材を募集する際にも法人であるということは信用度において大きく影響します。かといって必ずしも、法人であるからといって全ての会社が信頼できるかというわけではなく、中にはもちろん信用度に欠ける企業もたくさんあります。また同時に、個人事業主の中には法人よりも圧倒的に高い社会からの信用度を誇る事業主も存在します。よって一概にどちらの方が信用できるかとは言えない部分がありますが、一般的には法人の方が社会的信用度は高い傾向にあります。

有限責任にできる

例えば事業において損害賠償などが発生した場合、個人事業主であれば責任は無限責任となり、全ての返済義務が個人にかかってきます。無限責任が適用される場合、会社が倒産した時などには債権者に対し、例え個人の財産を持ち出してでも負債額の全てを支払わなければなりません。しかし法人であればそれを有限責任とすることができ、出資額を限度として債権者に責任を負うこととなります。よって会社が倒産した際には出資した分の金額に関しては全額責任を負うことになりますが、それ以上の責任に関しては背負わなくてもいいということになります。

事業継承が容易になる

法人登記をしている場合、相続という概念が存在しないため相続税がかかりません。また相続という考えがないことから、例え経営者が死亡したとしてもその資産が相続資産とみなされることはありません。個人事業主であればそうはいかず、全ての財産が相続の対象となるため相続税がかかります。また代表者の引継ぎ時においても代表者自身が後継者を選ぶことができるため、そこに無駄な労力を費やす必要がなく、比較的スムーズに事業継承を行うことができます。

デメリット

設立に時間とコストがかかる

先ほども少し触れましたが、法人登記をする場合には多額の準備資金と、手続きにまつわる時間を費やす必要があります。

まず、法人設立時に必要な手続きとして定款の作成や登記の申請などがありますが、定款に約5万円、登記に約15万円と最低でも20万円ほどの金額が必要になります。この上に資本金、また毎年の法人住民税は赤字であっても支払う義務があり、事前に把握できるだけでも結構な金額になります。

法人住民税がかかる

上記で触れた法人住民税ですが、これはそれぞれの地域で行われる行政や公共のサービスのために徴収されます。個人事業主であれば住民税は個人住民税として課税されるため、年間数千円程度の場合がほとんどですが、法人の場合は例え小規模の団体であっても最低で約7万円程度はかかってしまいます。

事務手続きが増える

個人事業主であれば、開業時に必要な手続きは開業届の提出のみであるためすぐに終わらせることができ、また税務署関係の提出書類などに関しても比較的容易に終わらせることができます。やり方次第で複雑にもなりますが、特に簿記などの事務作業に関しては簡単に終わらせようと思えばいくらでも手を抜くことができます。しかし法人となるとそうはいかず、どんな収益を得ていようと個人事業主に比べはるかに多くの時間を事務作業に費やす必要が出てきます。特に税金の申告に関しては処理がかなり複雑であるため、税理士などに処理を委託する場合がほとんどですが、委託をしたとしても確実に作業量は個人事業主のそれを上回ります。また法人においては法律上で求められる手続きなども付随して発生してくるため、そういった意味合いでも複雑さが増すと言っていいでしょう。法人登記の際には事務処理の負担も計算に入れた上で、計画的に事業を進めていくことをおすすめします。

まとめ

法人登記の概要、また個人事業主と比較した場合の法人登記におけるメリットなどをご紹介させていただきました。法人と個人事業主の違いをはじめ、法人登記をすることによって生まれる利点や気をつけなければいけないポイントなどがわかっていただけたかと思います。法人登記を検討されている方、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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