合同会社はLLC、 Limited Liability Companyの略です。2006年に日本で新しい会社の形態として生まれ、当初は3,000社ほどしか登記がなくマイナーな企業のあり方として認識されていました。しかしランニングコストの低さなどから世間から注目を集め、現在では登録数は3万件近くにのぼり、増加率も年々上昇しています。法人を設立する方法としては株式会社として設立するのがメジャーとされていますが、現在では合計数こそ少ないものの、近年の合同会社の伸び率は株式会社を上回っています。また、合同会社はもともとアメリカで法制化された形態で、現在日本では、設立が認められていない有限会社が一番近いとされています。
合同会社を設立する大きなメリットは、社会的信頼度をあげることができる点です。後述しますが、法人と個人事業主では社会的信用度に大きな差があります。一概に全ての個人事業主の信用度が低いかというとそうではなく、もちろん例外も存在しますが企業の中には法人としか契約を結ばないようなところも少なくありません。法人は、決算書や登記簿などの内部情報を世間に公開することが義務付けられています。取引側からすると、企業情報が開示されていれば事前にどんな会社なのかをチェックすることができるため、安心して取引をスタートさせることができます。また企業側からしても情報開示をすることによって他から信頼を勝ち取ることができるため、信頼度という面において双方にメリットが生まれます。
もう一つのメリットは、法人設立にも関わらず設立の費用を大幅に抑えることができる点です。通常株式会社を設立する際には定款の認証などが必要になり、設立だけで最低でも総額25万円は必要になります。しかし合同会社であれば、定款認証が不要であることから最低約6万円での設立が可能です。こちらについても後述しますが、個人事業主は実質0円での開業が可能です。しかし先ほどにも述べたように、個人事業主は法人に比べ、社会的信用度において多少劣る部分があります。しかし合同会社であれば、法人としての信頼度に加え初期費用も大幅に抑えることができるため、今後事業を大きくしていきたいと考えるのであれば合同会社での設立も視野に入れてみるといいでしょう。
社長の立場に当たる人の肩書きについて、株式会社だと「代表取締役」となるのが一般的であるのに対し、合同会社の場合は肩書きが「代表役員」となります。合同会社が広く知れ渡っていない今、名刺を渡す際などに代表役員という名前について疑問を持たれてしまう可能性も考えられます。また、小規模の小売やネットショップなど、社名を公に出す機会の少ないビジネス形態であればそこまで気に止める必要がないかもしれませんが、BtoBの仕事など社名や名前を公開する機会の多い業務形態で開業する場合は、都度相手側にどうして合同会社なのかを説明しなければならないということも視野に入れておく必要があります。
飲食店や八百屋などの小規模の自営業、そして俗にいうフリーランスと呼ばれる方などもほとんどがこの個人事業主という形態をとって仕事をしています。特にフリーランスは給与としてではなく成果報酬として収入を得ているのが特徴で、単発や短期の仕事を業務委託という形で取引先から獲得し生計を立てています。中には社内フリーランスとして取引先の会社に通勤しながら収入を得ている事業主もいたりなど、働き方は様々です。また個人事業主は合同会社や株式会社などの法人と違い、開業にかかる手間が少なく初期費用も0円に抑えることが可能ですが、その反面法人に比べ信用度が劣るなどのデメリットもあります。
先ほどにも述べましたが、個人事業主で開業する場合は特に初期費用は必要ありません。事業によって店舗や機材、商材などを事前に準備する場合には別途費用が必要になりますが、開業の手続きに関しては法人設立と違って資本金なども必要ないため、すぐに事業を始めることができます。また、開業届は事業がスタートしてから1ヶ月以内に提出するものとされていますが、仮に提出をしなくても罰則などはありません。開業届を出すことによって事業者名で銀行口座の開設などができるようになるなどのメリットはありますが、言ってしまえばそれが必要ない場合は手続きなしでビジネスをスタートさせることができるのです。法人を設立すれば、後々税金対策などが取りやすくなるなどといったメリットが生まれますが、それよりも「今すぐ手軽に開業したい」という場合は個人事業主になるという手段をおすすめします。
これは個人事業主としてビジネスをしていく上で大きなメリットと言えます。通常、決算や確定申告の時期になると法人では外部に会計処理を委託したり、企業によっては内部に税理士を雇ったりなどして、事務処理に時間を取られないよう多額の資金を費やしています。そうでもしなければ、大抵の場合は会計処理が複雑すぎることから本来の業務まで手が回らなくなってしまうのが現実です。しかし個人事業主の場合は、処理が簡単であるというわけではありませんが、法人に比べると格段に手間が少なく、容易に会計処理を済ますことができます。確定申告の際なども、青色申告というものを利用する場合は少し処理が複雑になりますが、それも会計ソフトなどを使えば処理ができる範囲内のものです。会計処理に時間を取られることなく、限りある時間で利益を最大限に伸ばすチャンスを生み出すことができるのは、個人事業主としての大きなメリットです。
先述しましたが、個人事業主のデメリットは法人に比べ社会的信用度が少し劣る点です。一概には言えませんが、個人事業主は法人に比べ設立や撤退が容易な分、「すぐに事業を辞めてしまうのではないか」「身元ははっきりしているのか」など社会的信頼度という面において不利になってしまう場合があります。もちろん個人事業主の中にはしっかりと取引先などから信頼を勝ち取り、法人よりも優れた能力で素晴らしい仕事をする方たちが多く存在します。ただ世間一般からの視点として、登記や業績詳細を社会に向けて公開している法人と比べて、個人事業主がそういった面で見劣りしてしまうという点は否めません。
個人事業主は、全ての仕事において無限責任を追わなければなりません。合同会社のような法人は有限責任といって、出資の範囲内でのみ責任が生じます。これは会社の設立時に出した出資額以上の支払い義務から免れるという意味で、例えば200万円を出資額として出していた場合、仮に300万円の借金ができたとしても支払い義務の発生する額はその内の200万円分のみということになります。これが個人事業主の場合は無限責任となり、出資額がいくらであろうと借金分の300万円分は必ず支払わなければならなくなります。
合同会社と個人事業主の共通点として、開業時に資金を節約できるという点がありました。一方で、社会的信頼度においては個人事業主よりも合同会社の方が高い評価を受けるという点、また責任を負う範囲についても大きな違いがあることがわかっていただけたかと思います。合同会社と個人事業主という二つの選択肢において、どちらを選ぶかは事業内容や規模によっても大きく異なります。どの事業形態にするか迷っている際は、ぜひこの記事を参考に合同会社、また個人事業主という2つの選択肢について検討してみてください。
© おすすめフランチャイズ.com All Rights Reserved.