個人事業者が加入必要な社会保険とは?

今働いている会社を退職し念願の独立を果たすまでには、多くの時間と準備が必要です。ビジネスプランはもちろんですが、サラリーマンだった時には会社が面倒をみてくれていた保険も退職後は自分で管理しなくてはいけません。社会保険について今一度どういったものなのかの確認や個人事業主としての独立後、役に立つ社会保険のルールについて解説します。

社会保険について

社会保険はどのようなものか、ここでもう一度確認しましょう。社会保険とは、病気や怪我、失業などの思わぬリスクを、国や自治対が保証してくれるものです。「最低限度の生活を営む権利」という憲法25条の考えが元になっています。日本の社会保険制度は、「健康保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」から成っており、この5つの保険により、人生における様々な出来事に備える事ができるのです。会社に属す事で加入できる社会保険は、この5つの保険が全て含まれています。サラリーマンだけでなく、一定の条件を満たすことでパートやアルバイトでも加入する事ができます。個人事業主の場合、社会保険はどのように変わってくるのでしょうか?

個人事業主が加入できる社会保険の種類とは?

個人事業主が加入できる社会保険は、「国民健康保険」「国民年金」「国民年金基金」の3つです。そのうち国民健康保険と、国民年金は個人事業主が強制的に加入しなければいけない保険とされています。国民年金基金は強制ではないのですが、加入が可能です。国民年金基金とは国民年金に加入している個人事業主に対して、国民年金を上乗せできるものです。国民年金に上乗せして厚生年金に加入しているサラリーマンと、国民年金だけにしか加入していない個人事業主などでは、将来受け取る年金額に大きな差が生じてしまいます。この年金額の差を解消するためのものが、個人事業主が加入できる国民年金基金です。こ3つの保険に加入が可能ですが、個人事業主は「労災保険」と「雇用保険」には加入できません。サラリーマンやアルバイトなどの給与所得者は仕事中に怪我をしてしまった場合、会社で加入している労災保険を使うことができますし、仕事を失っても再就職まで給付金が受けられます。この2つの保険の違いが個人事業主と給与所得者の違いとなっています。

任意継続健康保険とは?

任意継続健康保険をご存知でしょうか。個人事業主は会社を退職後、国民健康保険に加入する事が義務付けられていますが、「資格喪失日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あること」そして「資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること」を条件に、退職した会社の健康保険をそのまま2年間利用する事が可能です。任意継続健康保険を利用するメリットは、健康保険が安くなる場合が多く、扶養家族にできること、会社勤めだった時と同様の保証内容があるということです。国民健康保険は地域によって料金が異なるので、国民保険を払う場合は毎月いくらの支払いになるのか確認しましょう。任意継続保険には最高限度額が定められている事もあり、会社勤めしていた時の標準報酬月額によっては、任意継続保険を利用する方が安くなる可能性があります。また、配偶者や扶養家族がいる方は任意継続保険を利用する事により、そのまま扶養の仕組みを利用できます。被扶養者の条件として「その家族の収入は年間130万円未満であること」などがあるので確認しましょう。扶養の仕組みを利用できるのは国民健康保険にはない嬉しいメリットです。任意継続保険の内容に関しては、健康保険組合によって多少変わりますが、ほぼ同等の保証が受けられます。現在会社で受けている保険に人間ドックが含まれていれば、任意継続保険に変わってからもその保証を受けられます。注意してもらいたい事は、国民保険同様に任意継続保険も、傷病手当金や出産手当金は普及されないということです。

任意継続健康保険に加入する際の注意点

メリットが多い任意継続健康保険ですが、注意点がいくつかあります。まず、加入期間が2年と決まっていることです。それ以上の継続はできないため、期間がすぎると国民健康保険に加入しなくてはなりません。また、会社勤めの時は保険料が給料から天引きされていましたが、任意継続健康保険の場合は自ら支払いを行います。もし支払いを忘れてしまったり、残高不足で引き落としされていなかったりして保険料の滞納が出てしまうと、資格を喪失してしまうので十分に注意しましょう。

個人事業主の年金

個人事業主の場合、厚生年金には加入できないことになっています。国民年金のみの加入になるので、付加年金の制度を利用する人も増えています。付加年金とは、「毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やせる制度」のことです。この制度を利用する事により、「200円×付加保険料納付月数」の金額だけ上乗せした年金が受け取ることができます。つまり、10年間付加年金を支払うと、合計48,000円の負担額となり、受け取れる年金額が、毎年24,000円増えるという事です。余裕があるのであれば、この付加年金の制度を利用しても良いでしょう。もし、個人事業主としてビジネスを始めたばかりで国民年金保険を払うのが厳しい場合、免除もしくは減額の申請が可能です。しかし免除、減額された金額と期間によって、将来受け取る金額が変わるので注意しましょう。

社会保険への加入義務がある場合とは?

「健康保険」「介護保険」「厚生年金」への加入が義務になっているのは、法人を設立した場合だけではありません。個人事業主でも常時雇用する従業員が5人以上の場合、社会保険への加入が必要です。5人未満の場合は任意となっていますが、労災保険は必ず加入、また「31日以上の雇用見込み、かつ週20時間以上の勤務を行う従業員」の条件を満たす従業員に関しては雇用保険に加入しなければなりません。任意でも加入の場合、充実した福利厚生になりますが、事業主は従業員の社会保険料を半分負担する義務があるので、負担額を割り出してから加入を検討しましょう。

まとめ

会社員だった時は「健康保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」全て保証されていました。しかし個人事業主になると、「国民健康保険」「国民年金」「国民年金基金」の3つの社会保険にしか加入できません。そのため、条件を満たしているのであれば、任意継続健康保険の加入を検討しましょう。国民保険に加入するよりも健康保険が安くなる場合が多く、扶養の仕組みも利用できます。健康保険組合によって多少の差はあるものの、会社勤めだった時とほぼ同様の保証内容も嬉しいメリットです。ただし、加入期間は2年のみ、また保険料の滞納が出てしまうと資格喪失になってしまうので注意が必要です。年金に関しては、個人事業主の場合、国民年金のみで厚生年金には加入できないことになっています。将来受け取る額を増やすために、付加年金の制度を利用しても良いでしょう。もし社員を5人以上雇う予定があれば、個人事業主にも社会保険への加入義務がある事も忘れてはいけません。個人事業主になると、今まで会社が処理していた内容も自分でやらなくてはいけません。条件確認など、時間がかかるものもありますが、万が一の時に必要なのが社会保険です。怠る事なく、しっかりと調べる時間を作りましょう。

今働いている会社を退職し念願の独立を果たすまでには、多くの時間と準備が必要です。ビジネスプランはもちろんですが、サラリーマンだった時には会社が面倒をみてくれていた保険も退職後は自分で管理しなくてはいけません。社会保険について今一度どういったものなのかの確認や個人事業主としての独立後、役に立つ社会保険のルールについて解説します。

社会保険について

社会保険はどのようなものか、ここでもう一度確認しましょう。社会保険とは、病気や怪我、失業などの思わぬリスクを、国や自治対が保証してくれるものです。「最低限度の生活を営む権利」という憲法25条の考えが元になっています。日本の社会保険制度は、「健康保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」から成っており、この5つの保険により、人生における様々な出来事に備える事ができるのです。会社に属す事で加入できる社会保険は、この5つの保険が全て含まれています。サラリーマンだけでなく、一定の条件を満たすことでパートやアルバイトでも加入する事ができます。個人事業主の場合、社会保険はどのように変わってくるのでしょうか?

個人事業主が加入できる社会保険の種類とは?

個人事業主が加入できる社会保険は、「国民健康保険」「国民年金」「国民年金基金」の3つです。そのうち国民健康保険と、国民年金は個人事業主が強制的に加入しなければいけない保険とされています。国民年金基金は強制ではないのですが、加入が可能です。国民年金基金とは国民年金に加入している個人事業主に対して、国民年金を上乗せできるものです。国民年金に上乗せして厚生年金に加入しているサラリーマンと、国民年金だけにしか加入していない個人事業主などでは、将来受け取る年金額に大きな差が生じてしまいます。この年金額の差を解消するためのものが、個人事業主が加入できる国民年金基金です。こ3つの保険に加入が可能ですが、個人事業主は「労災保険」と「雇用保険」には加入できません。サラリーマンやアルバイトなどの給与所得者は仕事中に怪我をしてしまった場合、会社で加入している労災保険を使うことができますし、仕事を失っても再就職まで給付金が受けられます。この2つの保険の違いが個人事業主と給与所得者の違いとなっています。

任意継続健康保険とは?

任意継続健康保険をご存知でしょうか。個人事業主は会社を退職後、国民健康保険に加入する事が義務付けられていますが、「資格喪失日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あること」そして「資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること」を条件に、退職した会社の健康保険をそのまま2年間利用する事が可能です。任意継続健康保険を利用するメリットは、健康保険が安くなる場合が多く、扶養家族にできること、会社勤めだった時と同様の保証内容があるということです。国民健康保険は地域によって料金が異なるので、国民保険を払う場合は毎月いくらの支払いになるのか確認しましょう。任意継続保険には最高限度額が定められている事もあり、会社勤めしていた時の標準報酬月額によっては、任意継続保険を利用する方が安くなる可能性があります。また、配偶者や扶養家族がいる方は任意継続保険を利用する事により、そのまま扶養の仕組みを利用できます。被扶養者の条件として「その家族の収入は年間130万円未満であること」などがあるので確認しましょう。扶養の仕組みを利用できるのは国民健康保険にはない嬉しいメリットです。任意継続保険の内容に関しては、健康保険組合によって多少変わりますが、ほぼ同等の保証が受けられます。現在会社で受けている保険に人間ドックが含まれていれば、任意継続保険に変わってからもその保証を受けられます。注意してもらいたい事は、国民保険同様に任意継続保険も、傷病手当金や出産手当金は普及されないということです。

任意継続健康保険に加入する際の注意点

メリットが多い任意継続健康保険ですが、注意点がいくつかあります。まず、加入期間が2年と決まっていることです。それ以上の継続はできないため、期間がすぎると国民健康保険に加入しなくてはなりません。また、会社勤めの時は保険料が給料から天引きされていましたが、任意継続健康保険の場合は自ら支払いを行います。もし支払いを忘れてしまったり、残高不足で引き落としされていなかったりして保険料の滞納が出てしまうと、資格を喪失してしまうので十分に注意しましょう。

個人事業主の年金

個人事業主の場合、厚生年金には加入できないことになっています。国民年金のみの加入になるので、付加年金の制度を利用する人も増えています。付加年金とは、「毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やせる制度」のことです。この制度を利用する事により、「200円×付加保険料納付月数」の金額だけ上乗せした年金が受け取ることができます。つまり、10年間付加年金を支払うと、合計48,000円の負担額となり、受け取れる年金額が、毎年24,000円増えるという事です。余裕があるのであれば、この付加年金の制度を利用しても良いでしょう。もし、個人事業主としてビジネスを始めたばかりで国民年金保険を払うのが厳しい場合、免除もしくは減額の申請が可能です。しかし免除、減額された金額と期間によって、将来受け取る金額が変わるので注意しましょう。

社会保険への加入義務がある場合とは?

「健康保険」「介護保険」「厚生年金」への加入が義務になっているのは、法人を設立した場合だけではありません。個人事業主でも常時雇用する従業員が5人以上の場合、社会保険への加入が必要です。5人未満の場合は任意となっていますが、労災保険は必ず加入、また「31日以上の雇用見込み、かつ週20時間以上の勤務を行う従業員」の条件を満たす従業員に関しては雇用保険に加入しなければなりません。任意でも加入の場合、充実した福利厚生になりますが、事業主は従業員の社会保険料を半分負担する義務があるので、負担額を割り出してから加入を検討しましょう。

まとめ

会社員だった時は「健康保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」全て保証されていました。しかし個人事業主になると、「国民健康保険」「国民年金」「国民年金基金」の3つの社会保険にしか加入できません。そのため、条件を満たしているのであれば、任意継続健康保険の加入を検討しましょう。国民保険に加入するよりも健康保険が安くなる場合が多く、扶養の仕組みも利用できます。健康保険組合によって多少の差はあるものの、会社勤めだった時とほぼ同様の保証内容も嬉しいメリットです。ただし、加入期間は2年のみ、また保険料の滞納が出てしまうと資格喪失になってしまうので注意が必要です。年金に関しては、個人事業主の場合、国民年金のみで厚生年金には加入できないことになっています。将来受け取る額を増やすために、付加年金の制度を利用しても良いでしょう。もし社員を5人以上雇う予定があれば、個人事業主にも社会保険への加入義務がある事も忘れてはいけません。個人事業主になると、今まで会社が処理していた内容も自分でやらなくてはいけません。条件確認など、時間がかかるものもありますが、万が一の時に必要なのが社会保険です。怠る事なく、しっかりと調べる時間を作りましょう。

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